高次脳機能センター
お知らせ
お問い合せ先
高次脳機能障がいに関するご相談は、相談支援コーディネーターが対応いたします。
まずはお電話でのご連絡をお願いいたします。
鳥取県高次脳機能障がい支援拠点機関
野島病院 高次脳機能センター 担当:望月
〒682-0863
鳥取県倉吉市瀬崎町2714-1
TEL 0858-27-0205(直通)
FAX 0858-23-7122
E-mail mochiduki_k@nojima-hospital.or.jp
平日 8:30~17:30
鳥取県高次脳機能障がい支援拠点機関 野島病院高次脳機能センターとは
鳥取県からの委託を受け、県内の高次脳機能障がいと診断された方、これから診断を受けたいと考えている方、ご本人・ご家族や関係機関からの様々なご相談を受け、支援を行うために設置されました。
その他、高次脳機能障がいの普及と啓発のための研修会を、県との共催で開催する等の活動を行っています。
職員紹介
センター長 竹内啓九(医師:野島病院脳神経外科部長兼任)
相談支援コーディネーター 望月加奈子(精神保健福祉士:専任)
相談対応件数の推移
直接相談:本人や家族、友人からの相談
間接相談:関係機関からの相談
相談例
高次脳機能障がいかどうか診断を受けたい。
▶病気(ケガ)をしてからいろいろなことが上手くいかない。
▶自分が高次脳機能障がいかどうかを知りたい。
▶病気(ケガ)の後、仕事が長続きしない。
高次脳機能障がいの人への対応方法がわからない。
▶家族が怒りっぽくなり、接し方が分からない。
▶入所者が職員にセクハラをして困っている。
▶高次脳機能障がいと診断された人が復職したが、何度も同じミスを繰り返す。
高次脳機能障がいと診断されたが今後のことがわからない。
▶障がい者手帳の申請はできる・・・?
▶仕事をずっと休んでいるので生活が心配。経済的支援は受けられる・・・?
▶職場復帰はできる・・・?
▶自動車運転が出来るか知りたい。
▶リハビリについて知りたい。
高次脳機能障がい支援拠点機関とは
障害者総合支援法(現名称)に基づく「地域支援事業」のうち、都道府県実施分のひとつである「高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援事業(現名称)」により、平成18年度から、各都道府県に順次設置されました。各拠点機関には、最低1名の相談支援コーディネーターを配置することが決められています。
令和3年3月31日時点で、全国には116か所の拠点機関があり、427名の相談支援コーディネーターが配置されています。
保健師、社会福祉士、精神保健福祉士、作業療法士、言語聴覚士、心理職など様々な職種が各所で相談支援コーディネーターの職に就いています。
鳥取県は平成20年に鳥取大学医学部附属病院脳神経外科に拠点機関業務が委託されました。平成28年4月より、委託先が現在の野島病院に変わり、高次脳機能センターが設置されました。
人口の多さや、地理的な理由から、複数の拠点機関を持つ都道府県や、1つの拠点機関に複数の相談支援コーディネーターが配置されている例もありますが、令和3年4月現在、鳥取県内の拠点機関は当センターのみで、精神保健福祉士1名が相談支援コーディネーターとして配置されています。
鳥取県におけるコーディネーターの業務
前述のように、全国の各拠点機関には相談支援コーディネーターが必置で、様々な職種がその業務に就いています。鳥取県のコーディネーターの業務を大きく分けると、①相談支援と②普及・啓発の2つです。
相談支援は、主に県内の高次脳機能障がいの診断をされた方や、そのご家族、通所先等関係機関の職員の方から電話や面談で相談を受けます。相談内容は多岐にわたります。1回の相談で問題が解決することもあれば、複数回の相談を重ねるケースもあります。
ケアマネジャーや相談支援専門員のように、サービス利用のためのプランや計画をコーディネーターが作成することはありません。しかし、複数回の相談を重ねるなかで必要があれば、関係機関を紹介したり、同行することや支援会議に出席することもあります。
また、高次脳機能障がいの診断を受けていない方についても、「どこで診断を受ければよいか」といった内容をはじめ、相談に対応しています。
普及・啓発は年に2度、県との共催で行っている「高次脳機能障がい支援研修会」の運営があります。その他にも、広く様々な方に高次脳機能障がいについて知っていただくため、依頼を受け、各種勉強会などでお話しをすることもあります。
令和5年度には、鳥取県社会福祉協議会が主催する「あいサポーターステップアップ研修」で講師を務めました。
参考
(令和元年度高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業
第2回高次脳機能障害支援普及全国協議会資料より引用)
高次脳機能障がいとは
交通事故等による頭部外傷や、脳血管疾患(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血)、その他脳腫瘍や低酸素脳症、脳炎、脳症といった脳にダメージを与える病気が原因となって、記憶機能や注意機能、遂行機能や感情のコントロール等に問題を生じ、日常生活や社会生活への適応に困難が起こる後天性の障がいです。
「後天性の障がい」とは、生まれもっての障がい(先天性の障がい)ではないことを意味します。つまり、1度は獲得していた能力がケガや病気を原因に損なわれてしまうことを指します。
そのため、ケガや病気の前後で「どんなところが、どんな風に変わったか」の比較が重要で、ご本人のお話しの他にも、生活の状況を把握しているご家族や支援者の方からの情報も診断の際には大切です。
少し嚙み砕いた説明をすると・・・
「高次脳機能障がい」という用語には「学術的定義」と「行政的定義」の2つの概念があります。まずは「学術的定義」についてみていきます。
「高次脳機能障がい」という用語は学術的には、脳損傷に起因する認知障がい全般を指し、この中には巣症状としての失語・失行・失認のほか、記憶障がい、注意障がい、遂行機能障がい、社会的行動障がいなどが含まれます。
巣症状とは、脳の特定の部位が損傷することで、その部位が担う機能が障害されて起こる症状のことです。損傷された部位により現れる症状が異なります。
次に「行政的定義」についてみてみます。
平成13年度に開始された、国の「高次脳機能障害支援モデル事業」では記憶障がい、注意障がい、遂行機能障がい、社会的行動障がいなどの認知障がいを主たる要因として、日常生活及び社会生活への適応に困難を有する人たちが多く存在することが明らかになりました。そこで、支援対策を推進するため、これらの人々が示す認知障がいを「高次脳機能障がい」と呼ぶことを行政的に定義しました。
そのため、「高次脳機能障がい」という用語は2つの概念を持つことになりました。
(文責:望月)
こんな症状で困っていませんか
高次脳機能障がいの症状は、記載以外にも多岐に亘り、症状の現れ方も人により様々です。
診断基準
Ⅰ.主要症状等
1.脳の器質的病変の原因となる事故による受傷や疾病の発症の事実が確認されている。
2.現在、日常生活または社会生活に制約があり、その主たる原因が記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害である。
Ⅱ.検査所見
MRI、CT、脳波などにより認知障害の原因と考えられる脳の器質的病変の存在が確認されているか、あるいは診断書により脳の器質的病変が存在したと確認できる。
Ⅲ.除外項目
1.脳の器質的病変に基づく認知障害のうち、身体障害として認定可能である症状を有するが上記主要症状(Ⅰ-2)を欠く者は除外する。
2.診断にあたり、受傷または発症以前から有する症状と検査所見は除外する。
3.先天性疾患、周産期における脳損傷、発達障害、進行性疾患を原因とする者は除外する。
Ⅳ.診断
1.Ⅰ~Ⅲをすべて満たした場合に高次脳機能障害と診断する。
2.高次脳機能障害の診断は脳の器質的病変の原因となった外傷や疾病の急性期症状を脱した後において行う。
3.神経心理学的検査の所見を参考にすることができる。
なお、診断基準のⅠとⅢをみたす一方で、Ⅱの検査所見で脳の器質的病変の存在を明らかにできない症例については、慎重な評価により高次脳機能障害として診断されることがあり得る。
また、この診断基準については、今後の医学・医療の発展を踏まえ、適時、見直しを行うことが適当である。
(国立障害者リハビリテーションセンター ホームページより引用)
少し嚙み砕いた説明をすると・・・
「高次脳機能障がいとは?」のところで触れた、「高次脳機能障害支援モデル事業」では、「高次脳機能障がいの診断基準」、「標準的訓練プログラム」、「標準的社会復帰・生活・介護プログラム」の3つが作られました。
ここでは、診断基準とモデル事業について少しお話しします。
頭部外傷や脳血管疾患により身体に麻痺や失語症が後遺した場合、身体障がい者手帳を申請することができ、障がい福祉サービスの利用が可能になります。
また、40歳以上の脳血管疾患の患者さんは介護保険制度を利用することができ、65歳以上の患者さんは、発症の原因を問わず介護保険制度を利用できます。
しかし、一見後遺症が無さそうに見える方が、病院を退院し、日常生活に戻った時に、注意障がいや記憶障がい、遂行機能障がい、社会的行動障がいを主な要因として日常生活に大きな支障を来す例が多くありました。そうした方々、特に身体障がいを後遺しない若年の方は介護保険、障がい福祉いずれの制度にも該当せず「制度の谷間」とも呼ばれました。
これらの制度の谷間にある方への支援制度を作る必要があり、始まったのがモデル事業です。
支援体制を作るには、どの様な人が対象となるのかを明らかにすることが必要でした。そこで、「行政的な」高次脳機能障がいの診断基準を作成し、これに当てはまる人を「高次脳機能障がい者」と呼ぶことを定めました。そして、この診断基準に合致すれば、精神障がい者保健福祉手帳を申請することができ、障がい福祉サービス利用の可能性が広がりました。
診断基準はこの様な経緯で作られました。そのことを踏まえ、少し分かりにくい、「Ⅲ-1」を、失語症を例に見てみます。
失語症は「言語の障がい」として身体障がいの対象です。そのため、失語症以外に「Ⅰ-2」に挙げる記憶障がい、注意障がい、遂行機能障がい、社会的行動障がいを有しない方、つまり、失語症のみ後遺している方は「行政的な」高次脳機能障がいからは除外される、という意味です。
(文責:望月)
参考
(令和元年度高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業
第2回高次脳機能障害支援普及全国連絡協議会資料より引用)
研修会情報
活動報告
研修会実績報告
*講師の先生方のご所属・ご役職は講演当時のものです。
令和元年度~
開催日 開催地 | 研修会名 | 講師 テーマ | |
令和5年度 | 2023.12.9 Web∔会場 倉吉市 | 令和5年度 第1回高次脳機能障がい支援研修会 | 弁護士法人広島メープル法律事務所 代表弁護士 中井克洋先生 「交通事故・労災事故後の補償について」 |
2024.3.9 Web+会場 倉吉市 | 令和5年度 第2回高次脳機能障がい支援研修会 | 日本高次脳機能障害友の会 顧問 山口加代子先生 「高次脳機能障害の方の家族支援」 | |
令和4年度 | 2022.10.22 Web+会場 倉吉市 | 令和4年度 第1回高次脳機能障がい支援研修会 | 千葉県千葉リハビリテーションセンター 脳神経内科・リハビリテーション科 赤荻英理先生 「高次脳機能障害の診断書(精神手帳と年金診断書)の 書き方について ~生活状況を正しく落とし込むための アセスメントのポイント~」 |
2022.11.26 Web+会場 倉吉市 | 令和4年度 第2回高次脳機能障がい支援研修会 | 名古屋市総合リハビリテーションセンター 自立支援部長 稲葉健太郎先生 「高次脳機能障がい者の就労支援について ~名古屋市総合リハビリテーションセンターの取り組み~」 | |
2022.11.26 Web+会場 倉吉市 | 鳥取リハビリテーション講習会 | 小波瀬病院リハビリテーション科 部長 加藤徳明先生 「高次脳機能障害者と自動車運転」 | |
令和3年度 | 2021.11.6 Web+会場 倉吉市 | 令和3年度 第1回高次脳機能障がい支援研修会 | 京都光華女子大学健康科学部医療福祉学科 言語聴覚専攻 教授 京都大学医学部附属病院精神神経科 非常勤講師 京都市リハビリテーション推進センター 嘱託医 上田敬太先生 「発達障害・認知症、高次脳機能障害」 |
2022.3.26 Web | 令和3年度 第2回高次脳機能障がい支援研修会 | 神戸学院大学心理学部 教授 長谷川千洋先生 「高次脳機能障害の心理過程を考える」 | |
令和2年度 | 2021.3.13 Web | 令和2年度 高次脳機能障害地域支援ネットワーク 中国ブロック研修会 | 鳥取大学大学院医学系研究科 臨床心理学専攻 准教授 竹田伸也先生 「行動療法で高次脳機能障害の人の行動の意味を読み解く」 |
令和元年度 | 2019.9.14 倉吉市 | 令和元年度 第1回高次脳機能障がい支援研修会 | うねだや社会保険労務士事務所 畝田谷栄子先生 「障害年金の請求方法と請求後のあれこれ ~支援者が知っておきたい基礎知識~」 |
2019.12.7 鳥取市 | 鳥取リハビリテーション講習会 | 川崎医療福祉大学リハビリテーション学部長 種村純先生 「失語症の理解とその介入・支援」 |
平成20年度~平成30年度
リンク集
国立障害者リハビリテーションセンター 高次脳機能障害情報・支援センター
NPO法人 日本高次脳機能障害友の会
鳥取県公式ホームページ(とりネット)高次脳機能障がい支援サイト
鳥取県高次脳機能障害者家族会
中国地方の拠点機関
エスポワール出雲クリニック(島根県)
松江青葉病院(島根県)
松ヶ丘病院(島根県)
川崎医科大学附属病院(岡山県)
社会福祉法人 旭川荘(岡山県)
広島県立障害者リハビリテーションセンター(広島県)
山口県立こころの医療センター高次脳機能障害支援センター(山口県)